井原研究室の研究内容

消費者行動

研究の背景

先進国では、経済活動における消費者が占める割合が年々増大しています。経済活動は環境負荷や環境影響の発生を招くため、産業側からだけではなく、消費者側からの環境負荷低減活動(特にCO2削減活動)の実施も望まれています。

ライフサイクル的思考の導入

● 一側面だけ取り上げると、、、

電気をこまめに切るなど省エネルギー行動を実践するべき!

● ライフサイクル的思考に基づくと、、、

消費者は、エネルギーの消費によって直接環境負荷を排出するだけではなく、製品やサービスの使用により間接的に環境負荷を排出している。また、消費者は日常生活すべてにおいて満足を感じているわけではない。間接的なCO2排出量にも着目し、かつ満足度を向上させるような環境負荷削減方策を提案できれば、消費者がより主体的に環境負荷を削減することを期待できる。

研究の内容

日常生活におけるCO2排出削減ポテンシャルの評価

ライフサイクルの観点からは、消費者は日常生活のさまざまな場面でCO2を排出していますが、CO2排出形態は、世帯属性や地域によってさまざまです。どのような属性の消費者がどのような場面で多くCO2を排出するのか、そして、それは削減可能なのか、産業連関表や全国消費実態調査などの統計を解析することにより、消費者の属性別にCO2排出削減ポテンシャルの評価を進めています。

環境配慮型行動の受容性の評価

無理な省エネルギーが受け入れられないように、消費者はすべての環境配慮型行動を実践してくれるわけではありません。さまざまな環境配慮行動に対する消費者の考え方を、社会調査で把握し、心理モデルで分析することにより、より受け入れやすい環境配慮型行動の提案につなげます。

研究プロジェクト

進行中

● 科学研究費補助金・若手研究(B)「日常生活に伴うすべての温室効果ガス排出量の評価と低炭素型生活行動への実証的適用」(25740052)(研究代表者: 井原智彦・東京大学准教授)

消費者の日常の生活行動に伴ってライフサイクルで排出される温室効果ガスを費目別に定量化します。また、消費者のカーボンフットプリントに対する意識を探り、日常生活に伴う温室効果ガス情報を定量化することにより、カーボンフットプリント普及に向けた施策を提案します。

● 産業技術総合研究所安全科学研究部門との共同研究

新規技術が導入されたときの、消費者行動や産業構造の変化を予測することによって、社会における波及的な環境影響を評価します。それをもとに、新規技術の問題点と対策を明らかにします。

● 環境省・環境研究総合推進費「低炭素と経済活性化を両立する生活・行動様式と地域環境デザイン方策の提案」(2RF-1303)(研究代表者: 平野勇二郎・国立環境研究所主任研究員)

消費行動に伴うライフサイクル全体でのCO2排出量を明らかにし、低炭素と経済活性化を両立した生活・行動様式を探ります。

終了

● 科学研究費補助金・基盤研究(A)「リスクに対する頑健性と柔軟性を備えた環境調和型サプライチェーン設計手法の開発」(24246150)(研究代表者: 森口祐一・東京大学教授)

サプライチェーンのさまざまなリスク因子を体系化し、リスク因子が変化したときの全体に与える影響を可視化しました。

● 環境省・地球環境研究総合推進費・地球環境研究革新型研究領域「日常生活における満足度向上とCO2削減を両立可能な消費者行動に関する研究」(RF-087)(研究代表者: 工藤祐揮・産業技術総合研究所研究員)

日常生活において消費者が満足度を向上させられる分野を見いだし、その分野において満足度が向上しつつCO2排出量を削減できる行動を提案しました。また、行動の変化に伴うリバウンド効果についても評価しました。